お盆やお正月に親を黙らせる、結婚できない理由の数値データまとめ
先日、私が主催している婚活イベントで、親からの結婚圧力が日に日に高まっているという話がありました。お話されていた方はまじめな方で、「親に花嫁衣装も見せてあげたいけど、あちこちの婚活イベントに参加してもなかなかうまくいかない」とつぶやかれていました。
この方に限らず、親世代との意識の違いで悩まれている方は少なくないようです。例えば現在30代の方であれば、ご両親が結婚されたのも30~40年前でしょう。この世代にとって結婚とは、本人によほど大きな問題でもなければ全員がするものという認識です。それは日本の生涯未婚率からも読み取れます。
上は国立社会保障・人口問題研究所が調査した生涯未婚率を私がグラフ化したものです。この「生涯未婚率」とは45~49歳と50~54歳未婚率の平均値で算出した、50歳時の未婚率を表す数字です。50歳までに結婚せずにその後初婚される方は少ないため、便宜上この数字は生涯未婚率と呼ばれています。
30代の方の親が1975~1985年辺りで結婚されているとすると、生涯未婚率が上がる前の最後の世代とも言えます。自分たちが当たり前のように結婚できたから、息子や娘も結婚できるだろうと期待をかけるのは当然です。ですが本人が結婚して子供が成長するまでに、時代は大きく変わってしまったのです。
そもそも、なんでこんなに未婚率が上がってしまったのか。要因はたくさんありますが一つ上げるとしたら、結婚できない理由はみんなが恋をしないと結婚しなくなったことです。見方を変えれば、結婚が社会的な制度から、個人の幸せを追求する手段に変わったためとも言えます。
話は遥か昔にさかのぼりますが、原始時代の男女関係はこんな感じでした。
猿山のボスが群れの雌を独占するような極端な一夫多妻制ではなく、人類は緩やかな乱婚型だったと言われています。
ここに一夫一妻制を持ち込んだのが、今の社会です。ちなみにここでいう社会とは日本のことを指していますが、世界的に見れば一夫多妻制が禁じられているのは少数派(1/4程度)です。
一夫一妻制になれば、上記のグレーで囲まれた人たちが余ります。男女人数が1対1であれば全員が結婚できるわけではないということは、お分かりいただけるでしょう。
しかし今とは異なり女性の雇用環境が限られていた時代では、結婚=生活手段でした。そのために生まれたというわけではありませんが、お見合いは社会の隅々まで浸透していきます。
気がつくと、大多数のカップルは恋愛結婚ではなくお見合い結婚によって成り立つ形になります。ここでポイントとなるのは、本来は自由恋愛で結びついたはずの人たちも、恋愛対象とは別の相手と結びついている点です。
そして今度は先ほどと同じく、国立社会保障・人口問題研究所が調査したお見合い結婚と恋愛結婚の推移をグラフ化してみます。
なんというか、きれいに比率が逆転していますね。ですがこれだけならなんで生涯未婚率が高くなったのかが分かりません。そこで今度は厚生労働省の人口動態統計から、婚姻件数を年次別に計算して上記お見合い・恋愛比率をかけあわせてみました。
生涯未婚率が急激に高まり始めたのが1970~80年頃からであれば、お見合い結婚数が急激に減り始めたのもその頃です。一方、恋愛結婚数は横ばいということが分かってきました。
これはつまり生涯未婚率が上がったのって、お見合いで結婚する人がいなくなったからなんです。お見合いの全てがそうだというわけではありませんが、中には紹介者の顔を立ててとか、意に沿わないけどしぶしぶという形で結婚された方も多かったはずです。
ある一定年齢に達した時の、結婚しなさいという社会的プレッシャーも今とは全然異なるものだったでしょうし、それらが全てなくなったが故の、生涯未婚率増加と言って良いのかもしれません。
どちらの時代が幸せなのかは人によって異なるでしょうが、少なくともお見合いシステムに欠点がなければ、こんなにも淘汰される結果にはならなかったでしょう。結婚はより自然な形に戻ったのです。
もしもここからさらに誰もがパートナーを得られる社会にしたいと思ったら、原始時代の男女モデルまでさかのぼらせる必要があります。ただ、これは現代の倫理的にはさすがにそぐわないでしょうね。
結局、今の社会は人類が始まった頃の乱婚型でも、無理やり男女一組ずつくっつけていくお見合い式でもなく、くっつく人だけがくっつく形式を最適解としたのでしょう。
ということで、もしも結婚をするのが当たり前と思っている親に苦労している方がいたら、これらのグラフでも見せてあげてみてください。
ついでに蛇足ながら、もちろんご両親だって親心から心配して言っていることなので、客観的データで時代の変化を説明しつつも、喧嘩にならないように気持ちは汲み取ってあげてくださいね。
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