セルフモニタリングを意識した 、心理学的恋愛の進め方

心理学に「セルフモニタリング」という言葉があります。これは行動や判断基準に自分が感じることを重んじるか、他者が感じることを重んじるかを指します。

簡単に言えば、「セルフモニタリングが高い ＝ 自分が人からどう見られるかが大切」「セルフモニタリングが低い ＝ 自分自身がどう感じるかが大切」ということです。

これはその人の恋愛に対する価値基準にも大きく影響し、自分の特徴を知ることでその強み弱みをつかむことができます。そこでここでは、このセルフモニタリングについて紹介します。

セルフモニタリングの高低による違い

人間関係の振る舞いの違い

セルフモニタリングが高い人は、集団の中で気配りを重視します。周りから求められる役割をこなしたり、困っている人がいれば率先して手を差し伸べます。ただし仲間外れを気にして良い子になってしまったり、周りに合わせ過ぎてしまうこともあります。

一方、セルフモニタリングの低い人は、自分のやりたいことを優先します。それがわがままと取られることもありますが、信念に基づいて行動することで周りを引っ張るリーダーになれることもあります。

なお、セルフモニタリングを提唱した心理学者のスナイダーによると、セルフモニタリングが高い人は活動によって友達を分けて様々なコミュニティを行き来し、低い人は同じ友達といろいろな活動をする傾向があると分析しています。

外見の違い

セルフモニタリングが高い人は外見を重視します。ファッションや髪型に気を使ったり、ブランドものが好きだったりと、他人からよく見られることに強く注意を払います。

一方、セルフモニタリングの低い人は、外見にはあまり気を使いません。行き過ぎた状態になると婚活イベントにもＴシャツで現れるなど、見た目だけで外されるのはこのタイプです。

なお、東京成徳大学経営学部の池田善英准教授の研究（PDF資料）によると、「セルフ・モニタリング傾向の高い人ほど，１ヶ月あたりに実際に費やしている被服費が高かった」という報告もあります。

趣味へのこだわりの違い

セルフモニタリングが高い人は、人と一緒に楽しめる趣味を重視します。映画やカラオケ、遊園地など一般的に広く受け入れられている趣味を、友人と広く浅く楽しむことが得意です。

一方、セルフモニタリングの低い人は、一つの趣味にのめり込む傾向があります。他人に合わせて趣味のレベルを落とすくらいなら、自分一人で突き進んでいきます。独自の分野で一芸に秀でた人はこのタイプが多いです。

好きなタイプの違い

セルフモニタリングが高い人は、世間的な評価や周りに自慢できる恋人であるかどうかを理性的に判断します。

一方、セルフモニタリングの低い人は、感性で自分が好きだと思った相手を重視します。

人生設計の違い

セルフモニタリングが高い人は、学歴や職業など安定を強く求めます。年収の高い職業を選んだり、人生を堅実に過ごすことを目的とします。

一方、セルフモニタリングの低い人は、自分のやりたいことを選択します。それが上手くはまることもありますし、無謀な挑戦をし過ぎて人生を苦境に追い込むこともあります。

セルフモニタリングと意志力の相関図

セルフモニタリングは上記のように、高い人は高いなりに、低い人は低いなりに長所・短所があります。そしてこの強みを生かし、弱みを補いつつ、両者の長所を合わせ持つ方法もあります。その時に鍵となるのは「決断力」です。

セルフモニタリングの高い人は周りに流されることが多く、八方美人になりやすい傾向にあります。これを改善するには、自分独自の判断基準を磨いて自分で決断する回数を増やすことです。

またセルフモニタリングの低い人は、逆に自分だけの判断で物事を決めてしまうことが多いです。そこで周りをよく見る必要性を感じるかどうかはその人次第ですが、外の価値観を上手く取り入れることで、高次元のバランスが取れます。

なお、中にはセルフモニタリングも低いけど、決断力もなくて他人任せという左下ゾーンに位置する人もいます。自分の意見はないのに文句だけは一人前という人です。

こうした人がいきなり右上の領域に行くのは難しいので、まずは八方美人になるか、独善的に物事を進めるゴーイングマイウェイな人間になることから始めましょう。

セルフモニタリングの高低による 、心理学的恋愛の進め方

ひとことでセルフモニタリングと言っても、得意不得意な場面や状況によっても変化します。しかしここまでくれば、自分の恋愛の方向性も見えてきたのではないでしょうか？

セルフモニタリングの高すぎる人は、頭でっかちな恋愛をやめましょう。失敗を怖れてチャンスを逃してばかりであれば、思い切って告白するのも一つの手です。たとえ振られたとしても、それはきっと成長のきっかけになります。

そして気配り上手であることは、恋愛において強みです。それが活かせるようであれば、恋愛が長続きします。

また、セルフモニタリングの低すぎる人は、周りからアドバイスを聞くことで殻が破れます。教えを乞うことはプライドが傷付けられるかもしれませんが、そこには自分を変えたなりの成果があります。

そして恋愛において、盲目的に突き進む力は大きなパワーです。時には強引なくらいの力強さがなければ、恋はいつまでたっても進展しません。

セルフモニタリングを意識して、強みを生かして、弱みを補う。自分の特徴を知れば、次の恋はきっと変わっていきますよ。